良い姿勢をとるメリット
「姿勢を良くしましょう!」
皆さんはこれまでこのセリフを様々な場面で聞いてきたと思います。幼い頃の習字やピアノ教室から始まり、学生時代の部活、趣味で始めた武道やダンス、地域の健康教室ect。
正しい姿勢を取ることは、正しい運動パフォーマンスを可能にし、ひいては体の不調を予防することにもつながります。そのため「姿勢を良くすること」は、体を使ったあらゆる活動に必須の条件なのです。
良い姿勢を取ることの2大メリットは、①呼吸が深くなる、②関節の負担が軽減することです。
呼吸が深くなると、体に十分な酸素を取り込めるので、基礎代謝があがる、腸内環境が整う、痩せやすくなる、集中力が増します。また、地球上で重力の影響を受けながら生きる私たちにとって、良い姿勢でいることは骨を支える関節の負担を軽減し、痛みや不快感をなくしてくれます。関節の負担が少ないということは、各関節の可動域を最大限に活かせるので、スポーツやダンス、楽器演奏などで高いパフォーマンスが発揮できます。
良い姿勢は組織が健康でないと作れない
良い姿勢(正しい姿勢)とは、体を真横から見たときに「耳たぶー肩ー股関節ー膝関節の前部ーくるぶしの後方」が一直線になっている状態です。
患者さんにこの姿勢を指導すると、「あごを引くと首の後ろがつまった感じがして苦しいです」「お腹をひっこめると腰が痛いです「膝を伸ばせません」と言われ、そもそも良い姿勢をとれないことが度々あります。
良い姿勢がつらいのは、皮膚、筋・筋膜、結合組織(軟骨、腱、靭帯など)、関節などのいずれかに障害があるからです。良い姿勢をとには、皮膚、筋・筋膜、結合組織は正しい柔軟性がなくてはならず、関節は正しい可動域で軌道を描かなくてはなりません。特に筋・筋膜の柔軟性は大切です。なぜなら関節を保持し動かしているのが筋・筋膜だからです。
悪い姿勢はこうして作られる
悪い姿勢のきっかけは、日常生活のちょっとしたクセや、無意識で行っている動かしやすい方向への反復動作。同じ姿勢を取り続けることです。
猫背、ほほずえ、片方の奥歯だけで噛む、片側だけに体重を乗せて立つ、脇を広げてパソコンを打つ、脚を組む、同じ側を下にして寝る、同じ側でバッグを持つ、横すわりをする、座っている時間が長いといった、何気ない日常の習慣が筋肉の持続的な緊張状態を生み、全身の筋・筋膜のアンバランスを生んでしまいます。
筋・筋膜のアンバランスを生むのは、ライフスタイルだけではありません。
これまでやってきた趣味やスポーツ、ケガの既往歴も関係します。特にテニスやゴルフ、サッカーなどの片側の腕や脚の反復動作が多いスポーツをやってこられた方には筋・筋膜のアンバランスが大きく見られます。
またケガによる瘢痕(骨折、断裂、手術などによる傷跡)もアンバランスを生みます。
筋・筋膜のアンバランスが生じると、少しずつ体の負担となり、その状態が長期化すると関節の硬さや変形につながって、痛みを発生させることもあります。
『私は姿勢が悪い』と自覚されている方は、ご自身のこれまでの生活を振り返ってみてはいかがでしょう?
ご自身の悪い姿勢が、どのような原因で生じてしまったのかを知ることは、正しく理想的な姿勢をとり、健康になる第一歩ですから。