☑腰に強い痛みがある。

☑腰が伸びない、曲げられない。

☑片側の腰からふくらはぎまでしびれる。

☑腰がいつも重だるい。

☑骨盤と背骨が交わるあたりに強い痛みがある。

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の腰痛

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の痛みは、「ひどいコリ」が続いたことで筋膜に異常が生じ、『トリガーポイント』という痛みのセンサーを刺激するスポットが発生したことで起こっています。

トリガーポイントが発生する原因

トリガーポイントは体に加えられた外力(荷重・重力)により、過度に負担のかかった筋肉に深刻な血流障害が起き、組織の修復が阻害されることによって発生します。

一過性の強い外力:交通事故、スポーツ傷害、転倒、打撲、ムチウチ、寝違え、手術など。

継続的な外力:生活習慣(姿勢のクセ、動き方のクセ)、労働、スポーツ、骨格の非対称性、ストレスによる体の緊張など。

筋力の低下は外力に対応する力が弱くなっているので、骨を支える筋肉への負担が大きくなります。

腰痛を引き起こす原因

腰はヒトが直立した時に約5kgもの重さがある頭、片腕約4kgある腕、たくさんの臓器を内包する腹部の重さを重力に逆らいながら骨盤とともに支えています。

腰周辺にかかる荷重の負担を分散するのが「背骨のS字カーブ」です。頚椎の前方カーブ、胸椎の後方カーブ、腰椎の前カーブ、これらが正常な範囲で保たれていれば椎間板の負担、支える筋肉の負担は少なく、腰痛になることはありません。

「背骨のS字カーブ」を正しく保つのに重要なのは『頭部の位置』と『骨盤の角度』です。背骨の土台である骨盤が前傾しすぎたり、後傾しすぎたりすると、腰だけでなく上半身全体の筋肉の緊張を招きます。

また座り姿勢での椎間板の負担は立っている時の1.5倍、座って前かがみになる姿勢では2倍の負担がかかっています。座っている時間が長い人はお尻、太ももの筋肉がこりやすく、この部分のコリが骨盤を引っ張って腰周辺の筋肉、椎間板への負担を増加させます。

【腰に負担がかかる要素】

  • 猫背
  • 反り腰(骨盤が前傾しすぎている):妊婦、腹部が出ている人
  • 丸腰(骨盤が後傾しすぎている):猫背や老人に多い背中が丸くなっている姿勢
  • 座ったり立ったりの反復動作が多い
  • 踏ん張る動作が多い:荷物の運搬、介護
  • 踏ん張って体をひねる動作が多い:ゴルフ、テニス
  • 座っている時間が長い
  • 立っている時間が長い
  • 同じ姿勢を取る時間が長い
  • 前かがみでの作業が多い
  • 下肢に痛みがあり膝がまっすぐに伸びない
  • 過度の筋トレ
  • でん部のコリと筋力低下
  • 太ももの筋肉のコリと筋力低下
  • 股関節周辺のコリと筋力低下
  • 腹筋の筋力低下
  • 背筋の筋力低下

これら以外にストレスや自律神経の障害、内臓の機能低下でもトリガーポイントが形成されます。

間違えられる病気

腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症、腰椎分離症・分離すべり症、後縦靱帯骨化症、黄色靱帯骨化症

治療

通常3つの段階を経て治癒に導きます。

第1段階 痛みの除去:つよい痛みを感じている筋肉のトリガーポイント(活性化トリガー)を鍼で刺激することで、痛み信号の遮断、交感神経の興奮抑制、血流の改善・増加を図ります。

第2段階 癒着の除:活性化トリガーに関連する筋膜の癒着(潜在化トリガー)を鍼の刺激で、溶かすようにほぐすようにして取りのぞきます。

第3段階 筋バランスを整える:姿勢や動きに偏りが生じていれば、体幹、上肢、下肢全体のバランスを整えます。施術と並行して姿勢や動きの指導、ストレッチや運動の指導をします。

当院での改善例

主訴:腰椎周辺の痛み(30代・男性・会社員)

来院までの経緯:半年ほど前に趣味の筋トレ(100kgのデッドリフト)で腰を痛めた。今日まで何回も痛くなったり少し良くなったりを繰り返してきたが痛みはずっとある。今はデッドリフトはやっていないので、日常生活には支障はないが、腰の痛みで他の筋トレができない。また筋トレができるようになりたい。

治療:身長185㎝、体重82kgの大柄な男性です。デッドリフトとは、主に下半身と背筋をターゲットとしたトレーニングで、重量挙げの要領でバーベルを両手に持ち、背筋は伸ばしたままバーベルを膝まで持ち上げ上体を起こします(100kg!)。問診では右の腰椎周辺とお尻に痛みがあるということでした。触診すると右の腰椎と腸骨稜(骨盤の縁)が交わるあたりの多裂筋が硬くなっていて、押すとかなりの圧痛(トリガーポイント)がありました。右の中殿筋、小殿筋、太ももも同様に硬く、柔軟性が無くなっていました。

デッドリフトの動きを観察させていただくと、前かがみから起き上がる時に右の膝が体の内側に入っていく癖がありました。これは、と思い右の足指をみたところ、案の定小指が寝ていました(寝指)。足の小指が寝ていたり内反小趾だと、膝の安定が悪くなり踏ん張ったときに膝が体の内側に入りやすくなります。同時に股関節が前方にひっぱられるのででん部や仙腸関節、腰椎周辺の筋肉の張力が上がり負担が増します。

治療は多裂筋のトリガーポイントを取り除くことをメインにして、臀部、太もも、ふくらはぎまでの筋肉のコリと癒着を取る施術を行いました。また足の指でしっかり地面がつかめるようになるセルフケアを指導しました。

1週間に1度の通院で、1回目で痛みが10→9、2回目で10→3になりました。3回目が終了したあと筋トレを再開され少し症状が再発しましたが、5回目の治療終了後ご本人から「痛みが全くなくなりました。腰の筋肉も元通りになりました」と言っていただきました。

ミニコラム:痛みは連鎖し記憶される

あなたは痛みを我慢していたら痛い範囲が徐々に広がってきたなと思う時がありませんか?

トリガーポイントは放置すると痛みの連鎖を引き起こすことがあります。それは痛みをキャッチした神経細胞の興奮が同じ脊髄レベルの神経だけでなく、上下の脊髄レベルの神経細胞にもその興奮を伝えるため、元々の痛みの場所から上下・左右の筋も痛みを感じてしまうからです。こうなると症状が複雑になり、元々の痛みの場所=一番負担のかかっていた筋を特定できず、痛みを長引かせてしまいます。

また、脳は「長期増強」という繰り返し入力された情報を記憶するシステムがあります。学生の時に英単語や歴史の年号を覚える為に何度も繰り返し見て、読んで、記憶したあのメカニズムです。痛みを早期に治療せず放置すると、痛みの信号が継続して脳に入力されるため、脳はその情報を忘れないように深く記憶に刻み込み定着させてしまいます。すると痛みの原因が取れても痛みの記憶だけが残り治療も難しくなります。

痛みの悪循環を生まないためにトリガーポイントは早い段階で治療する必要があります。

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