股関節の痛み

こんな痛みでお悩みですか?

じっとしていても股関節がジンジン痛い。

鼠径部が痛い。

お尻の横側が痛い。

脚をあげると脚のつけ根が痛い。

鼠径部から太ももの内側が痛い。

その痛みこそ、筋筋膜性疼痛症候群(きんきんまくせいとうつうしょうこうぐん)通称MPSかも知れません。

股関節痛の原因は関節ではなく筋肉痛

股関節痛は膝痛と並び中高年の女性に多い症状です。

病院に行くと画像診断によって変形性股関節症と診断されることがほとんどでしょうが痛みの原因は2つあります。

一つは股関節にかかる外力で軟骨が摩耗し、その摩耗片(削りかす)の分解物によって関節の内側にある滑膜に炎症が起きている痛み=変形性股関節症

もう一つは股関節の機能に作用する筋、腱、靭帯が疲労して発する痛み=筋筋膜性疼痛症候群です。

炎症が起きている場合は関節に水(間質液)が溜まってブヨブヨしています。

それがなければ筋肉の痛みです。

最近の研究では炎症の痛みは全体の 2 割にみたないと言われています。

股関節が変形するのは、股関節にかかる荷重が関節を支える筋・腱・靭帯の力より上回った時です。

体重、不適切な姿勢による荷重、繰り返しかかる荷重によって支える筋肉は疲労し、軟骨への負荷が増していきます。

また固くなった筋肉は骨を引っ張り関節の位置を変えます。

股関節にはお尻や太ももにある「骨盤を支える筋肉」「脚を上げ下げする筋肉」が多く付着しています。

これらの筋肉がこって柔軟性を失うと、関節の動きが悪くなり徐々に痛みを生じるようになります。

 

MPSの痛みは、こうした「ひどいコリ」が続いたことで筋膜(きんまく)に異常が生じ、『トリガーポイント』という痛みのセンサーを刺激するスポットが発生したことで起こります。

日常生活で股関節に負担がかかる動きや要素

普段の生活で、股関節痛につながる要素をまとめてみました。

思い当たるふしがあるのではないでしょうか?

●踏ん張る:荷物の運搬、介護
●踏ん張って急に方向転換するスポーツ:テニス、スキーなど
●肥満
●横座り、あぐら
●座っている時間が長い
●立っている時間が長い
●立ったり座ったりの反復動作
●長時間自転車に乗る
●お尻の筋力低下
●下肢の筋力低下
●外反母趾、内反小趾、寝指

病院でつけられやすい病名

変形性股関節症、臼蓋形成不全

当院の治療(動画あり)

女性は臼蓋形成不全と診断されなくても股関節のはまりが浅い人が多いです。

痛みを改善するには、関節の動きを良くして、股関節を支える筋肉を鍛えること、そして歩き方や靴の選び方を工夫することで
す。

通常3つの段階を経て治癒に導きます。

第1段階 痛みの除去

つよい痛みを感じている筋肉のトリガーポイント(活性化トリガー)を鍼(はり)で刺激することで、痛み信号の遮断、交感神経の興奮抑制、血流の改善・増加を図ります。

第2段階 癒着の除去

筋膜の癒着を鍼の刺激で、溶かすようにほぐすようにして取りのぞきます。癒着が取れることで、筋膜内を走行している動脈、静脈、感覚神経、運動神経、自律神経が解放され機能が向上します。

第3段階 筋バランスを整える

姿勢や動きに偏りが生じていれば、体幹、上肢、下肢全体のバランスを整えます。

施術と並行して姿勢や動き、ストレッチなどの指導をします。

当院での改善例

主訴:股関節と膝の痛み(60代・女性・主婦)

来院までの経緯:膝は40代の頃から悪かったが、1か月くらい前から左の股関節に痛みがある。日常生活ではすごく痛いということはないが、自転車に乗る時や階段を下りる時に痛みを感じる。家で運動がてら股関節をぐるぐる回していたのが原因かなと思う。これまでマッサージや鍼など体のケアや治療をする場所に行ったことがない。今回はこのまま痛みが続くと困るので来た。深部に鍼をしてくれるというのが気になった。

治療:この方のように股関節と膝の両方が痛むという方は多いのです。それもそのはずで、股関節は膝と協力して上半身を支えながら脚を動かし、地面から体にかかる衝撃を和らげているのです。

触診では左の腰、股関節、太もも、ふくらはぎまでの広い範囲にコリがありました。特に股関節中心(お尻のえくぼの下あたり)の筋肉はガチガチに固まっていました。この方は若干X脚(両膝が内側にわん曲した状態)で、左の足首が内側にかなり倒れていました。この状態では膝が体の内側に入り込んでしまい股関節が前側に引っ張られてしまいます。もともとの骨格と足関節の問題が時間をかけて股関節の痛みにつながったと考えました。

治療はコリのある左の股関節を中心に、腰、太もも、ふくらはぎの硬さを取っていきました。特に股関節の前側(鼠径部あたり)の癒着がひどかったのでそこを重点的に取りました。施術と合わせてX脚用のインソールと痛みがひくまでの足首のサポーターの装着をお勧めしました。

2週間に1度の来院で、3回目終了後に痛みが半減、4回目終了後には股関節の動きがとてもスムーズになりました。5回目にいらした時には、脚を動かす角度によって鼠径部あたりに違和感はあるものの、自転車も階段も痛くないと喜んでおられました。「筋肉が原因だなんて思いもよらなかったし、体はつながっているんだと治療をしてもらって解った」と感想を述べられていました。

ミニコラム:痛みは連鎖し記憶される

あなたは痛みを我慢していたら痛い範囲が徐々に広がってきたなと思う時がありませんか?

トリガーポイントは放置すると痛みの連鎖を引き起こすことがあります。それは痛みをキャッチした神経細胞の興奮が同じ脊髄レベルの神経だけでなく、上下の脊髄レベルの神経細胞にもその興奮を伝えるため、元々の痛みの場所から上下・左右の筋も痛みを感じてしまうからです。こうなると症状が複雑になり、元々の痛みの場所=一番負担のかかっていた筋を特定できず、痛みを長引かせてしまいます。

また、脳は「長期増強」という繰り返し入力された情報を記憶するシステムがあります。学生の時に英単語や歴史の年号を覚える為に何度も繰り返し見て、読んで、記憶したあのメカニズムです。痛みを早期に治療せず放置すると、痛みの信号が継続して脳に入力されるため、脳はその情報を忘れないように深く記憶に刻み込み定着させてしまいます。すると痛みの原因が取れても痛みの記憶だけが残り治療も難しくなります。

痛みの悪循環を生まないためにトリガーポイントは早い段階で治療する必要があります。