下肢痛

☑お尻からふくらはぎまでジンジンしびれる。

☑太ももの裏側がスジ状に痛い。

☑太ももの外側が痛い。

☑ふくらはぎが痛い。

☑太ももやふくらはぎがつっばって痛い。

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の下肢痛

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の痛みは、「ひどいコリ」が続いたことで筋膜に異常が生じ、『トリガーポイント』という痛みのセンサーを刺激するスポットが発生したことで起こっています。

トリガーポイントが発生する原因

トリガーポイントは体に加えられた外力(荷重・重力)により、過度に負担のかかった筋肉に深刻な血流障害が起き、組織の修復が阻害されることによって発生します。

一過性の強い外力:交通事故、スポーツ傷害、転倒、打撲、ムチウチ、寝違え、手術など。

継続的な外力:生活習慣(姿勢のクセ、動き方のクセ)、労働、スポーツ、骨格の非対称性、ストレスによる体の緊張など。

筋力の低下は外力に対応する力が弱くなっているので、骨を支える筋肉への負担が大きくなります。

下肢痛を引き起こす原因

下肢痛は「坐骨神経痛」「腰部脊柱管狭窄症」と間違えられることが多いのですが、痛みの発信源はお尻と太ももにできたトリガーポイントです。「坐骨神経痛」であれば日によって痛みが出たり治まったりはしません。また「腰部脊柱管狭窄症」は下肢の麻痺、排尿・排便障害が起こります。これらがなければ筋肉の痛み=筋筋膜性疼痛症候群です。

下肢は骨盤と共に体を支え、立つ、座る、歩く、走る、踏ん張るといった多くの動きを作る役割を担っているので、労働やスポーツなど活動量の多い方に痛みが出やすい部分です。

しかし最近では座っている時間が長い人が多いので、太ももとお尻が椅子に圧迫されつづけた結果、血流障害を起こして痛みを発症している人が増加しています。

【下肢に負担がかかる要素】

  • 肥満
  • O脚
  • 座っている時間が長い
  • 立っている時間が長い
  • 立ったり座ったりの反復動作が多い
  • 踏ん張る動作が多い:荷物の運搬、介護
  • 急に方向転換するような動きのあるスポーツ:サッカー、テニスなど
  • 踏ん張りながら力を発揮するスポーツ:ゴルフ、ウェイトリフティングなど
  • 長時間自転車に乗る
  • 過度の筋トレ
  • 過度のランニング
  • お尻の筋肉のコリと筋力低下
  • 太ももの筋肉のコリと筋力低下
  • ふくらはぎのコリと筋力低下
  • 腹筋の筋力低下
  • 背筋の筋力低下
  • 外反母趾
  • 内反小趾
  • 寝指

間違えられる病気

坐骨神経痛、腰部脊柱管狭窄症

治療

通常3つの段階を経て治癒に導きます。

第1段階 痛みの除去:つよい痛みを感じている筋肉のトリガーポイント(活性化トリガー)を鍼で刺激することで、痛み信号の遮断、交感神経の興奮抑制、血流の改善・増加を図ります。

第2段階 癒着の除:活性化トリガーに関連する筋膜の癒着(潜在化トリガー)を鍼の刺激で、溶かすようにほぐすようにして取りのぞきます。

第3段階 筋バランスを整える:姿勢や動きに偏りが生じていれば、体幹、上肢、下肢全体のバランスを整えます。施術と並行して姿勢や動きの指導、ストレッチや運動の指導をします。

当院での改善例

主訴:太ももからお尻の痛み(70代・男性・会社経営)

来院までの経緯:8か月前から脚に痛みがある。お尻から太もも、ふくらはぎまでの全部が痛い。特に階段を上る時に太ももの裏に痛みが走る。整形外科に通っているがいまだ改善しない。病院では脊椎狭窄症と診断されていて、1か月後に手術をする予定になっている。手術はするつもりだが鍼をしてみたらどうだろうと思って来た。

治療:以前に首と肩の痛みで通院しておられた方です。ゴルフが趣味で首と肩もゴルフで痛められていました。週に1度くらいはゴルフをされるのですが、プレイ後の体のケアをほとんどやっておられなかったので筋疲労がたまり痛みになっていました。この方はプレイ後のケアはされないのですが、筋トレがお好きで70代とは思えないほどしっかりとした体つきをされています。

今回のお話を伺ってすぐに「原因はゴルフでの筋疲労だな」とは思いました。下肢痛を訴えられる方は筋疲労か筋力低下のどちらかが多いのですが、この方には筋力低下はないはずです。また医者がいうように脊柱管狭窄症であれば下肢の麻痺や排尿障害が見られますが、そういう症状は全くなく、日によって痛みが出たり出なかったりするというのは明らかに筋肉の症状です。

触診するとやはりお尻から太ももがガチガチでした。特にハムストリングが硬く、触れると圧痛点(トリガーポイント)がいくつもありました。治療の前に今回の痛みは脊柱管狭窄症ではなく筋疲労なので手術はされない方がいいとお話をしましたが、お医者さんが必要だと言っているから・・・と信じてもらえない雰囲気でした。

治療は太もものトリガーポイントを取りのぞき、硬くなっている中殿筋、小殿筋、ふくらはぎをゆるめる施術を行いました。治療後に小さな台を使って階段を上る動作をしていただいたところ、痛みはないということだったので様子を見ていただくようにしました。1週間後に再度来院され、1回目の来院時は痛み止めを飲んでいたので効果が定かではなかった、今も痛みは多少あると仰ったので、前回と同じ施術をしました。治療後に再び小さな台を使って階段を上る動作をしてもらうと「あれっ、痛くない。大丈夫だ」と驚いておられました。「手術は考えてくださいね」と言うと、少しバツが悪そうな顔をされていました。

ミニコラム:痛みは連鎖し記憶される

あなたは痛みを我慢していたら痛い範囲が徐々に広がってきたなと思う時がありませんか?

トリガーポイントは放置すると痛みの連鎖を引き起こすことがあります。それは痛みをキャッチした神経細胞の興奮が同じ脊髄レベルの神経だけでなく、上下の脊髄レベルの神経細胞にもその興奮を伝えるため、元々の痛みの場所から上下・左右の筋も痛みを感じてしまうからです。こうなると症状が複雑になり、元々の痛みの場所=一番負担のかかっていた筋を特定できず、痛みを長引かせてしまいます。

また、脳は「長期増強」という繰り返し入力された情報を記憶するシステムがあります。学生の時に英単語や歴史の年号を覚える為に何度も繰り返し見て、読んで、記憶したあのメカニズムです。痛みを早期に治療せず放置すると、痛みの信号が継続して脳に入力されるため、脳はその情報を忘れないように深く記憶に刻み込み定着させてしまいます。すると痛みの原因が取れても痛みの記憶だけが残り治療も難しくなります。

痛みの悪循環を生まないためにトリガーポイントは早い段階で治療する必要があります。