肩の痛み

こんな痛みでお悩みですか?

じっとしていても肩がズキズキうずく。

上着を着る時に肩にピキっとした痛みがある。

肩が痛くてブラジャーがつけられない。

肩から腕にかけてしびれる。

振り向くと肩に激痛が走る。

それは、筋筋膜性疼痛症候群(きんきんまくせいとうつうしょうこうぐん:MPS)かも知れません。

肩の痛みを引き起こす原因

巻き肩という言葉を聞いた事がありますか?

肩甲骨と腕をつないでいる肩関節の並び方に変化が起きて、肩が胸の方に巻いたようになっている状態を「巻き肩」といいます。

「スマホ肩」と呼ぶこともあって、このような肩関節の変化はスマホやパソコンが普及する以前にはあまりなかったと言われていいます。

巻き肩になると、肩の前側の筋肉は収縮したまま固定し、肩の後ろ側は伸張したまま固定されます。

本来筋肉は力を発揮する時に硬くなり(収縮)、そうでない時は緩む(伸張)ようにデザインされています。筋肉を伸縮させることで関節を動かし、体に動きを与えると同時に、血管を圧迫して血液を循環させて筋肉に動力源を生む酸素を送っています。筋肉が伸縮しない状態は、自動車でいうところのアイドリングを続けているのと同じなので、そのうちエネルギーの供給が需要に追いつかなくなり筋肉の疲労=コリが生じます。

収縮固定した筋肉は硬さを増し、伸張固定した筋肉は神経が引っ張られ痛みを発する傾向にあります。

また肩を上げる筋肉は首に付着しているので、肩の位置の変化は同時に首の位置の変化となり、肩と首双方の筋肉に負担をかけます。

MPSの痛みは、こうした「コリ」が続いたことで筋膜(きんまく)に異常が生じ、『トリガーポイント』という痛みのセンサーを刺激するスポットが発生したことで起こります。

日常生活で肩に負担がかかる動き

●肩関節を前方に寄せる:猫背、巻き肩
●肩をあげたまま固定する:肩にかけるバッグ、肘にかけるバッグ(いつも同じ側で持つと負担が増します)
●肩をそびやかせて指を使う:スマホ・パソコンの操作
●肩を固定して重いものを持つ:長時間赤ちゃんを抱き続ける、重いカバンを持つ
●腕をよく使う労働やスポーツ:荷物の運搬、ゴルフ、テニス

病院でつけられやすい病名

肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)、肩蜂下インピンジメント症候群、腱板断裂

当院の治療(動画あり)

いわゆる五十肩も筋膜性疼痛症候群です。

五十肩は通常「炎症期」「拘縮期」「回復期」と進行していきます。

痛みが一番強いのが発症直後の「炎症期」ですが、この時期は積極的な治療をすると炎症をひどくするので避けた方がいいです。

炎症が治まった「拘縮期(通常発症から 10 日程度)」に入ってからの治療が効果的です。

通常3つの段階を経て治癒に導きます。

第1段階 痛みの除去(部分の問題を解決する)

つよい痛みを感じている筋肉のトリガーポイント(活性化トリガー)を鍼(はり)で刺激することで、痛み信号の遮断、交感神経の興奮抑制、血流の改善・増加を図ります。

第2段階 癒着の除去(周辺の問題を解決する)

筋膜の癒着を鍼の刺激で、溶かすようにほぐすようにして取りのぞきます。癒着が取れることで、筋膜内を走行している動脈、静脈、感覚神経、運動神経、自律神経が解放され機能が向上します。

第3段階 筋バランスを整える(全体の問題を解決する)

姿勢や動きに偏りが生じていれば、体幹、上肢、下肢全体のバランスを整えます。

施術と並行して姿勢や動き、ストレッチなどの指導をします。

当院での改善例

主訴:肩の痛み(50代・女性・会社経営)

来院までの経緯:ランニング時の腕の振り方が悪かったのか、肩の痛みで整形外科を受診したところ右肩腱板損傷と診断を受ける。半年ほど整形外科で治療しやや改善。3か月後に今度は肩から首に痛みが出る。頚椎症と診断され半年間整形外科で治療。それ以降五十肩らしき症状が出始め改善しないまま現在に至る。アキュスコープ、関節包内矯正などの治療を受けるが悪化、痛みの範囲が広がってきた。

治療:初診時に痛みで一番困るのは何ですか?と伺ったところ「ブラジャーがつけられない」「上着の脱ぎ着がつらい」ということでした。これは五十肩特有の悩みで、検査でもシャンプーをする動作と後ろに手を回す動作に支障がありました。触診では左の二の腕から肩、首、肩甲骨周辺がガチガチに固くなっていました。特に首と肩が交差する背骨のキワと肩甲骨上のコリがひどく、まさに五十肩を英語で言ったところの「フローズンショルダー((凍結肩))」そのものでした。

五十肩は中年になると誰にでも発症するものではなく、この方のように以前に肩を痛めたことがある方や腕を酷使している、肩こりがある方に多くみられます。

治療は肩関節を中心に、二の腕、胸筋、肩甲骨周辺のトリガーポイントの除去と癒着の解消を行いました。一週間に1度の通院で、3回目に痛みが劇的に改善し、5回目にはブラジャーをつけるなどの日常生活での支障はなくなりました。合計10回の通院で肩の痛みが完全になくなり、手を上にあげることや後ろ手を組むといった動作も問題なく出来るようになりました。

ミニコラム:痛みは連鎖し記憶される

あなたは痛みを我慢していたら痛い範囲が徐々に広がってきたなと思う時がありませんか?

トリガーポイントは放置すると痛みの連鎖を引き起こすことがあります。それは痛みをキャッチした神経細胞の興奮が同じ脊髄レベルの神経だけでなく、上下の脊髄レベルの神経細胞にもその興奮を伝えるため、元々の痛みの場所から上下・左右の筋も痛みを感じてしまうからです。こうなると症状が複雑になり、元々の痛みの場所=一番負担のかかっていた筋を特定できず、痛みを長引かせてしまいます。

また、脳は「長期増強」という繰り返し入力された情報を記憶するシステムがあります。学生の時に英単語や歴史の年号を覚える為に何度も繰り返し見て、読んで、記憶したあのメカニズムです。痛みを早期に治療せず放置すると、痛みの信号が継続して脳に入力されるため、脳はその情報を忘れないように深く記憶に刻み込み定着させてしまいます。すると痛みの原因が取れても痛みの記憶だけが残り治療も難しくなります。

痛みの悪循環を生まないためにトリガーポイントは早い段階で治療する必要があります。