股関節痛変形性股関節症、臼蓋形成不全

股関節痛改善のカギはお尻と太ももの深層筋

股関節痛は膝痛と並び中高年の女性に多く見られる症状です。それもそのはずで、股関節は膝関節と連動して、立つ、座る、歩く、走るといった運動時における体の固定保持を担っている為、筋力の低下した女性が股関節と膝の両方を同時に、あるいは膝の痛みを適切な治療をせずに放置して股関節痛を発症していることが多くあります。股関節の痛みで病院を受診すると、たいていの場合変形性股関節症と診断されます。しかしこれも変形性膝関節症と同様に、関節の内側の痛みなのか外側の筋肉の痛みなのかをしっかり見極めないと治療法を誤ってしまいます。軟骨や骨には神経がなく痛みを感じません。ですのでレントゲンで関節のすき間が狭くなっていたり、骨棘が出来ていてもそれがイコール痛みにはつながることはないのです。軟骨の摩耗片(削りかす)の分解物によって関節の内側にある滑膜に炎症が起きていれば変形性股関節症。そうでなければ関節を支える筋肉に問題が生じている筋・筋膜性疼痛症候群です。関節の軟骨がすり減ったり、骨棘が生じるまでになるにはかなりの時間がかかります。関節の問題の前には必ず関節を動かす筋肉の問題が生じているのです。

股関節に作用するのは、腸腰筋という腰から股関節につく筋肉を始め、骨盤を覆うお尻の筋肉と下肢を動かす太ももの筋肉です。これらの筋肉に何らかの理由で負担がかかりつづけると、硬く縮んだままの状態(=コリ)になりそのうち筋肉痛がおこります。実際股関節痛を訴えられる方のお尻と太ももはガチガチに固くなっています。病院では中殿筋などのお尻の筋力をつけるよう運動指導をされるでしょうが、最初に筋肉をゆるめなければ筋力をつけることは出来ません。筋肉はバネなので、まずはゆるめて筋肉本来の柔軟性を取り戻すことが最優先です。股関節痛の改善には、お尻と太ももの筋肉をゆるめること、いい状態を維持できるようストレッチや運動をすること、そして最後に筋トレです。筋トレを始めるタイミングで股関節に負担の少ない立ち方、歩き方、動き方を体得すると再発の予防になります。

原因

運動器(身体運動に関わる骨、筋肉、関節、神経などの総称)に生じる痛みの多くは体にかかった外力(荷重)による組織の損傷が原因です。外力には事故や転倒といった一過性の大きな外力と、不適切な体位や単純で反復する作業のような継続的な外力とがあります。一過性の外力による痛みは「急性痛」で、これは組織に激しい損傷が起きたことによる《炎症の痛み》です。炎症は損傷を受けた組織を防御し修復する過程なので、適切な治療を行い傷が治れば痛みも自然に消えていきます。この一過性の外力による損傷が治癒しているにも関わらず続いている(通常3カ月~6か月)痛みや、明らかな組織の損傷がないのに痛い状態を「慢性痛」といいます。慢性痛の多くは継続的に体にかかる外力で、筋の緊張状態が続き、硬くなった筋肉に血管が圧迫されて起こる《虚血(局所の貧血)の痛み》です。

一過性の外力(荷重):スポーツや事故による股関節の骨折・脱臼、手術など

継続的な外力(荷重):先天性股関節症による筋肉の非対称、走ったりジャンプしたりするスポーツ、片足で踏ん張って大きな力を出すスポーツ、立ったりしゃがんだりといった反復動作の多い労働、長時間の立ち仕事、長時間の座り姿勢、脚を組んで体を片側へずらす、片側で重い荷物を持つなど

虚血が痛みを発生させる流れはこうです。

継続的な外力(荷重)→筋の中にある筋紡錘(きんぼうすい・筋の伸縮状態を感知する受容器)が興奮→筋緊張の高まり(異常収縮)→筋内圧が上昇→筋膜にかかる圧も上昇→血管の圧迫→血流が低下(虚血)→低酸素によるエネルギー危機→発痛物質の産生・停滞→発痛物質が自由神経終末(痛覚・触覚・温度などの刺激を受容し脳に伝える神経線維の末端)を刺激→痛みの発生

一般に筋肉は柔軟性があって丈夫なイメージがありますが、負担がかかりすぎるとと疲労して硬くなり、使わないでいるとすぐにやせて筋力が落ちてしまいます。関節の中でも、股関節と膝関節は“体重を支えながら動く”という人間の基本的な動作に重要な役割を果たしています。股関節を動かしているのはでん部と太ももについている筋肉群です。この筋肉群がやせたり硬くなると関節の動きが悪くなり痛みが生じます。

適応症状

股関節痛全般。脚の付け根が痛い。股関節の動きが悪い。立ち上がり時に股関節が痛む。歩き始めに股関節の痛む。足の爪を切るときに股関節が痛む。 靴下を履くときに股関節が痛む。あぐらがかけない。階段を上り下りする時に股関節がカクカクする。股関節が外れそうな感覚がある。。

施術

通常3つの段階を経て治癒に導きます。

第1段階 痛みを消失させる施術:痛みの出ている筋肉のトリガーポイントを狙い、筋肉の緊張をゆるめ血流を改善させることで痛みを取りのぞきます。

第2段階 痛みや違和感の根本原因を除去する施術:通常痛みを感じている筋肉は根本原因ではありません。ヒトは動き(活動)を通して体を傷めるので、その人の日常の姿勢、動作のクセから痛みが出た場所に負担をかけている部位を特定し施術をします。これにより筋肉の偏った緊張を取り、痛みが出ている筋肉と連動する筋肉(腕、肩甲骨、背中の上部、胸部、頭部、顔など)との動きを整えます。

第3段階 体全体のバランスを整え再発を予防する施術:姿勢や動きに偏りが生じないよう、体幹、上肢、下肢全体のバランスを整えます。施術と並行して、姿勢や動きの指導、ストレッチや運動の提案をします。

施術する代表的な筋群

名称:深層外旋六筋
大腿方形筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、梨状筋、上双子筋、下双子筋の総称。主に股関節を体の外側に向ける動作に大きく関与する。歩行時の方向転換、立っている時に骨盤を安定させる役割を果たしています。

名称:内転筋群
大内転筋、長内転筋、短内転筋、恥骨筋、薄筋の総称。主に股関節を体の中心近づける(直立姿勢)、股関節を曲げる(脚を曲げる)動作に関与する筋群。骨盤を安定させる役割も果たしています。

名称:小殿筋
中殿筋の下にある筋肉。中殿筋と共に股関節を曲げる、伸ばす、体の中心側に回旋させる、体の外側に回旋させる作用をもち、直立時に骨盤を支える。小殿筋と中殿筋は加齢とともに筋力低下が起こりやすいと言われています。

名称:中間広筋
大腿部前面にある強力な深層筋。内側広筋、外側広筋と同時に収縮することで膝関節を伸ばす。大腿四頭筋(大腿直筋、中間広筋、内側広筋、外側広筋)の筋力低下がおきると膝関節の安定性が低下し姿勢の保持が困難になります。

ヒューマン・アナトミー・アトラス 画像の使用 @visiblebodyに感謝します。