膝痛変形性膝関節症

膝痛の8割は関節外(筋肉)の痛み

中高年が抱える慢性痛の悩みで腰痛に次いで多いのが膝痛です。その膝痛の原因で最も多いのが、膝関節の軟骨がすり減ってひざが変形してしまう変形性膝関節症です。この変形性膝関節症、てっきりすり減った軟骨が痛みを発しているのだと思われるでしょうが、軟骨や骨には神経がなく痛みを感じません。膝の痛みの原因は2つあります。一つは膝にかかる外力で軟骨が摩耗し、その摩耗片(削りかす)の分解物によって関節の内側にある滑膜に炎症が起きている。もう一つは膝の関節を支えている内転筋、大腿筋膜張筋、前脛骨筋などに筋肉痛が起きているからです。ですので正確には、膝の痛みが関節内の炎症であれば変形性膝関節症、外側の筋肉であれば筋・筋膜性疼痛症候群です。

あなたの膝痛が変形性膝関節症なのか筋・筋膜性疼痛症候群なのかを見極めるポイントは次の通りです。膝の上の骨(大腿骨)と下の骨(脛骨)が接している関節部分を押してみて痛みを感じたり、水(間質液)が溜まってブヨブヨしていれば変形性膝関節症。そうでなければ筋・筋膜性疼痛症候群です。病院で変形性膝関節症と診断された人の8割は関節の外側に起因する筋肉の痛み=筋・筋膜性疼痛症候群だといわれています。

ヒトが立つ、座る、歩く、走るといった運動ができるのは、膝関節が動いて足を伸ばしたり曲げたりしてくれるお陰です。その膝関節を動かし、支えているのは太ももとふくらはぎにある筋肉です。これらの筋肉に痛みが生じるのは、姿勢や歩き方、運動やスポーツなどの活動量による膝への負荷が自分の筋力を上回った場合に起こります。その為軟骨のすり減りも、筋肉が関節を支えられなくなったことが軟骨の負荷となり生じた結果と言えます。膝痛を克服するには、太ももとふくらはぎの筋肉にあるトリガーポイントを潰すこと、そして下肢の筋力アップです。筋肉は死ぬまで鍛えられる唯一の組織というのをご存知ですか?だからもう歳だからとあきらめるのは止めましょう!

原因

運動器(身体運動に関わる骨、筋肉、関節、神経などの総称)に生じる痛みの多くは体にかかった外力(荷重)による組織の損傷が原因です。外力には事故や転倒といった一過性の大きな外力と、不適切な体位や単純で反復する作業のような継続的な外力とがあります。一過性の外力による痛みは「急性痛」で、これは組織に激しい損傷が起きたことによる《炎症の痛み》です。炎症は損傷を受けた組織を防御し修復する過程なので、適切な治療を行い傷が治れば痛みも自然に消えていきます。この一過性の外力による損傷が治癒しているにも関わらず続いている(通常3カ月~6か月)痛みや、明らかな組織の損傷がないのに痛い状態を「慢性痛」といいます。慢性痛の多くは継続的に体にかかる外力で、筋の緊張状態が続き、硬くなった筋肉に血管が圧迫されて起こる《虚血(局所の貧血)の痛み》です。

一過性の外力(荷重):スポーツや事故による膝関節の骨折・脱臼・捻挫・靭帯損傷・半月板損傷、手術など

継続的な外力(荷重):走ったりジャンプしたりするスポーツ、立ったりしゃがんだりといった反復動作の多い労働、長時間の立ち仕事、O脚、X脚、肥満、お尻・太もも・ふくらはぎの筋力の低下など

虚血が痛みを発生させる流れはこうです。

継続的な外力(荷重)→筋の中にある筋紡錘(きんぼうすい・筋の伸縮状態を感知する受容器)が興奮→筋緊張の高まり(異常収縮)→筋内圧が上昇→筋膜にかかる圧も上昇→血管の圧迫→血流が低下(虚血)→低酸素によるエネルギー危機→発痛物質の産生・停滞→発痛物質が自由神経終末(痛覚・触覚・温度などの刺激を受容し脳に伝える神経線維の末端)を刺激→痛みの発生

一般に筋肉は柔軟性があって丈夫なイメージがありますが、使いすぎると疲労して硬くなり、使わないでいるとすぐにやせてしまいます。膝関節は股関節と足関節をつなぐ関節で、その安定には太ももとふくらはぎの筋肉が重要な役割を果たします。太ももとふくらはぎの筋肉の柔軟性が失われたり、やせると膝の痛みにつながります。

適応症状

膝痛全般。膝が伸びない。膝が曲がらない。歩行時の膝の痛み。ランニング時の膝の痛み。歩き始めの膝の痛み。階段を上るときに膝が痛い。階段を降りる時に膝が痛い。膝がガクッとする。膝がグラグラする。正座ができないなど。

施術

通常3つの段階を経て治癒に導きます。

第1段階 痛みを消失させる施術:痛みの出ている筋肉のトリガーポイントを狙い、筋肉の緊張をゆるめ血流を改善させることで痛みを取りのぞきます。

第2段階 痛みや違和感の根本原因を除去する施術:通常痛みを感じている筋肉は根本原因ではありません。ヒトは動き(活動)を通して体を傷めるので、その人の日常の姿勢、動作のクセから痛みが出た場所に負担をかけている部位を特定し施術をします。これにより筋肉の偏った緊張を取り、痛みが出ている筋肉と連動する筋肉(腕、肩甲骨、背中の上部、胸部、頭部、顔など)との動きを整えます。

第3段階 体全体のバランスを整え再発を予防する施術:姿勢や動きに偏りが生じないよう、体幹、上肢、下肢全体のバランスを整えます。施術と並行して、姿勢や動きの指導、ストレッチや運動の提案をします。

施術する代表的な筋群

名称:半膜様筋
股関節と膝関節をまたぐ二関節筋。ハムストリングスの一つ。股関節を内転、伸展、まっすぐ立った時の骨盤の安定、膝関節を曲げ、内側に回旋させる作用。膝関節を曲げる動作(歩く、しゃがむなど)に強く関与する。

名称:腓腹筋
下腿三頭筋(腓腹筋の内側頭と外側頭、ヒラメ筋)を構成するひとつ。膝関節と足関節をまたぐ二関節筋。膝関節を曲げる、足関節の底屈(つま先立ち)に大きく貢献する。こむら返りを起こす原因の筋です。

名称:膝窩筋
腓腹筋に覆われている深層筋。ハムストリングス(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋)の補助的な役割を果たし、膝関節を曲げる、内側に回旋させる動き(膝関節の安定)に関与する。

名称:内転筋群
大内転筋、長内転筋、短内転筋、恥骨筋、薄筋の総称。主に股関節を体の中心に近づける(直立姿勢)、股関節を折り曲げる(脚を挙げる動作)に作用する筋群。内転筋群の筋力が落ちると膝が曲がり姿勢をまっすぐに保てなくなります。

ヒューマン・アナトミー・アトラス 画像の使用 @visiblebodyに感謝します。