首痛の3大原因

首の骨(頚椎=けいつい)は、5~6㎏(体重の約10%)もある頭を支え、上下左右に動かしたり回転させたりと複雑な動きをコントロールしています。また首は、脳を含む頭部器官(目、鼻、口、耳)に栄養と酸素を送り老廃物を回収する血管の通り道であり、体と脳をつなぐ神経の通り道でもあります。
首は生命活動においてとても重要な役割を担っているにも関わらず、その構造は7つの骨(頸椎) の周辺を細く小さな筋肉が重なっただけの脆弱なものです。その為、首は少しの刺激で損傷しやすく、障害した時の影響が深刻で全身に及ぶことから「人体の急所」と言われています。
頚椎症、頚椎ヘルニア、頚椎脊柱管狭窄症と病院で診断名がつくものから、首を動かした時の痛み、首と頭の境目のつまり感、手や腕のしびれといった症状は、特定の筋肉を酷使したことによる『首こり』から始まります。
首こりが慢性化すると、収縮して硬くなった筋肉が首の可動域をせばめるだけでなく、首とつながる肩・腕、胸、アゴの動きまで制限しはじめます。 また、硬くなった筋肉が血管を圧迫する為、脳や目、鼻、口、耳といった頭部にある器官の機能低下を招きます。眼精疲労、頭痛、鼻炎、耳鳴り、顎関節症などは首こりとは全く関係のない症状のように思えますが、首こりの影響を大きく受けています。
首こりが起こす症状で特に注意が必要なのは自律神経の失調です。自律神経は交感神経と副交感神経という2つの神経により生命の維持活動を担っているとても重要な神経です。首には自律神経のブレーキ役である副交感神経が密集しているため、首こりによってこの神経が圧迫されると体は暴走を始め、胃腸障害、睡眠障害、排泄障害、精神障害(うつ、パニック障害)など、広い範囲に深刻な影響を及ぼします。病院では原因不明と言われた、頭痛やめまい、吐き気、倦怠感、不安感などは首こりが原因であることも多いのです。
首痛の原因1.悪い姿勢
首痛で一番多い原因は、普段の姿勢の悪さから来る筋肉の緊張や血行不良です。
猫背で頭が過度に前にでた姿勢は、頭蓋骨と頸椎をつなぐ小さな筋肉(後頭下筋群)や頸椎を支える筋肉に大きな負担がかかります。首周りの筋肉に疲労がたまると頭部への血液循環が悪くなり、めまいや目の奥の痛み、頭痛、不眠など様々な症状が引き起こされます。頭が前に2.5㎝出るごとに、首にかかる負担は4㎏増すと言われています。
首痛の原因2.精神的なストレス
不安や心配事など精神的なストレスを抱えている人は、総じて浅く速い呼吸をしています。浅く速い呼吸を続けていると、心臓と肺の入れ物である胸郭(きょうかく)の動きを作る筋肉や、呼吸を補助する首の前側の筋肉が疲労して血行不良を起こします。また精神的ストレスのある人は、あれこれと考えを巡らせることで頭部への血液供給が過多になり循環障害が起きやすくなります。
首痛の原因3.長時間のPCやスマホの操作
PCやスマホの操作をする時は、モニターを凝視するために頭部がぶれないよう首の筋肉を緊張させています。またキーボード操作は細かな指先の動きが必要となるため、手、肘、肩が動かないよう腕の筋肉全体を緊張させています。つまりPCやスマホ操作は同じ姿勢(=固まった姿勢)でいることが長く続くため、血行不良によるコリ、筋肉の癒着、痛みを招きます。
痛みを増悪させる要因には、飲酒、過食、不規則な生活習慣、ストレス、睡眠不足、運動不足などがあります。