肩痛の3大原因

四十肩、五十肩、肩こりなど、肩に何らかの慢性症状を抱えている人は腰痛に次いで多数を占めています。肩には人体最大の可動域を持つ肩甲上腕関節(けんこうじょうわんかんせつ・いわゆる肩関節)を中心に6つの関節があり、肩と首・胸・背中をつなぐ多数の筋肉が関節の動きに関わっています。肩関節は大きな可動域を持っているものの、関節を構成するくぼんだ部分(関節窩かんせつか)が浅く小さいため安定性に乏しいため筋肉によって補強されています。
腕を使って活動することが多いヒトにとって、日常的に肩関節や肩周辺の筋肉にかかるストレスは多大です。また、姿勢の悪さから「巻き肩」などの関節のアライメント不良も起こりやすいことが、肩の慢性症状を訴える人の多さにつながっていると言えます。
肩痛の原因1.同じ姿勢(固まった姿勢)
運動器(動くことに関わる骨、筋肉、関節、神経などの総称)を健康に保つための鉄則はとにかく「動かすこと」にあります。関節は動かさないとさびつき、筋肉は硬くなって血管や神経を締めつけて痛みを生みます。肩関節と同じ大きな可動域を持つ股関節は歩くことで関節や関節周辺の筋肉を動かすことは出来ますが、肩関節は意識して動かさなければ固まったままになってしまいます。デスクワークやスマホ操作の時間が長い人は特に注意が必要です。
肩痛の原因2.オーバーユース
オーバーユース(使いすぎ)には、スポーツ、労働、筋トレ、楽器演奏の4種類があります。どれも特定の筋肉を使いすぎることで起こる痛みです。筋肉を使う(緊張させる)と筋線維が微小に破壊されます。日常生活でも筋線維の破壊は起こりますが、激しいスポーツ、長時間の楽器演奏、反復する動きや重いものを持ち上げる労働、特定の筋肉に負荷をかける筋トレは破壊の度合いが強くなります。筋線維の修復は、通常24時間~48時間かけて徐々に行われるので、体を使いすぎたときは休息を取ることが必要です。休息をしっかり取らずに筋肉を使い続けると、組織の破壊が進み、なかなか治らない慢性痛へと移行します。
肩痛の原因3.筋力低下(そもそも筋肉が少ない)
筋肉はクルマでいうところのエンジンです。筋力が低下した高齢者、筋肉の少ない人が重い荷物を持ったり、同じ姿勢を続けるとたちまちオーバーユースになって筋肉に痛みが生じます。自分ではそんなに筋肉を酷使した覚えはないのに痛みがでるのは、自身が持っている力以上に筋肉を使っているからです。女性に肩こりが多いのは、じっとしている姿勢で体重の10%ある頭、両腕で体重の8%もある重さに肩が耐えられないからです。
痛みを増悪させる要因には、飲酒、過食、不規則な生活習慣、ストレス、睡眠不足、運動不足などがあります。