首こりの原因:その4『食いしばりによる首こり』

意外に多い隠れ食いしばり

「あなたは食いしばりがありますか?」と聞かれて、即座にYes/Noと答えられる方は多くありません。なぜならほとんどの人が就寝中、あるいは仕事中に無意識のうちに「食いしばり」をしているからです。歯ぎしりならギリギリと音がするので家族に指摘されることもありますが、「食いしばり」はなかなか気づくことができない為、「食いしばり」によって起こる様々な体調不良も見過ごされがちです。

首こり、肩こり、頭痛、めまい、目の痛み、腰痛、寝ても疲れが取れないetc。これらは一見「食いしばり」とは関係のない症状のようですが、長期間の「食いしばり」が原因となって発症する全身症状の例です。マッサージや整体にいってもすぐにコリが戻る、日中眠くて仕方がない、疲れがなかなか取れない、という方は「食いしばり」のクセがないかを確認してみてはいかがでしょう。

以下は「食いしばり(TCH=上下歯列接触癖というのが正式名だそうです)」の有無を確認するチェック表です。チェック項目が多ければ多いほど「食いしばり」の可能性大です。

  • アゴに鈍い痛みがある
  • 歯がしみることがある
  • 寝ても疲れが取れない
  • 首こり、肩こりがひどい
  • 朝起きた時にアゴが痛い、頭痛がある
  • リラックスして口を閉じた時に上下の歯があたっている
  • 顔の左右のバランスがかなり違う
  • 奥歯が割れている、奥歯が欠けている
  • 口を開けた時に音が鳴る
  • 頬の内側に歯並びにそったスジがある

いくつチェックがつきましたか?当院にいらっしゃる患者さんも「食いしばり」に無自覚な方がとても多いです。首周りを触診をした際にアゴの下あたりに太いコリがあるので「食いしばりをされますか?」と伺うと、「以前歯医者に行った時に食いしばってると言われました」「あーそういえば、アゴがいつも痛いです」といった答えが返ってきます。「食いしばり」は寝ている間にするものだと思われている方も多いのですが、実は仕事をしている日中に食いしばっている方は結構いらっしゃいます。集中すると体に力が入ってくるのでそれは当然かも知れませんね。

「食いしばり」をする5つの要因

「食いしばり」をしてしまうのは、以下のような5つの要因があります。

  1. 歯並びが悪い
  2. 歯のかみ合わせが悪い:歯並びが悪いと噛みあわせも悪くなる為に、強くかむことで無理やりバランスを取ろうとします。すると、ますます歯に圧力がかかって歯並びが悪くなりかみ合わせもずれてしまうという悪循環におちいります。
  3. 強いストレスや緊張がある:強いストレスや緊張感があると、全身に力が入り、歯も無意識に食いしばる傾向があります。言いたいこと、やりたいことを我慢しているときも同じような状態になります。
  4. 体に合わない金属(アマルガムなど)をはめている:保険治療で使われる歯の詰め物=アマルガムは銀・スズ・銅・亜鉛の粉末と無機水銀との合金で50%が水銀(重金属)で出来ています。アマルガムは口の中で少しずつ腐食して溶け出し、蓄積した水銀によって様々な不定愁訴や不調が起こるとされています。
  5. 舌の筋力が落ちている:舌は通常スポットと呼ばれる前歯の裏から少し奥まってへこんだ場所にすっぽりと収まっていなければいけません(下図参照)。舌がこの位置になく、下あごについていたり、舌先が上の歯や舌の歯を強く押している場合は舌の筋力が落ちている証拠です。舌の筋力が落ちると、上あごを舌で支えていることができず食いしばりやすくなります。

上述した5つの要因のうち、一つがあることによって「食いしばり」癖になっている人もいますし、いくつかの要因が合わさって「食いしばり」をしている人もいます。朝起きた時にアゴが痛かったり、だるかったりする人は「食いしばり」をしている可能性が大です。

「食いしばり」のコリ

「食いしばり」は歯を強く噛みしめている状態なので、かむ筋肉や顎を上下させる筋肉、舌を動かす筋肉にコリができます。場所で言うと、側頭部、こめかみ、エラの部分、アゴの下側、エラから鎖骨にかけてのラインです。噛むときに上あごを動かす筋肉はこめかみ辺りの側頭部にありますが、下あごを下方に引く筋肉は顎から首、鎖骨についている為、「食いしばり」のある人は首こりや肩こりを訴える人が多いです。当院にいらっしゃる「食いしばり」のひどい人は、首の前方、下あごあたりに小石大に大きくなったコリがあります。このような人は顎を動かすと口の中でゴリゴリと鈍い音がするそうです。

食いしばりでコリが出来る筋肉

食いしばり」による首こりの治療は、前述した咬筋や顎を動かす筋肉のコリを取っていきますが、「食いしばり」を止めない限り首こりや肩こりが完治することはありません。当院では「食いしばり」が疑われる患者様には歯科医院の受診をお勧めし、マウスピースの装着や歯列矯正などを検討していただいています。

冒頭で書いた通り「食いしばり」は昼夜を問わず無意識に行っている為、体の不調が「食いしばり」によるものだとはなかなか気づくことができません。日中の「食いしばり」も問題ですが、特に睡眠中の「食いしばり」は、食事をしているときの約3倍以上の力(約100キロ以上もの強い力)がかかっていると言われていいます。これほどの大きな「力」が歯にかかることは通常ありません。その強い外力が全身の筋肉を緊張させ、血行不良・睡眠の質の低下・アゴの痛みや、頭痛・肩こり・腰痛などの全身症状を招いているのです。首こり、肩こりがなかなか取れない、アゴの周りに違和感を感じている人は是非歯科医院で検査をしてもらってください。

まとめ

「食いしばり」は睡眠時だけでなく、仕事をしている日中にも無意識に行っています。「食いしばり」による体への悪影響は、首こり、肩こり、頭痛、腰痛、めまい、全身の倦怠感、目の痛みなど全身に及ぶ為注意が必要です。「食いしばり」のコリは、こめかみや側頭部、エラ周辺、下あご首の前方に出るので、治療はこれらの部分のコリを取って筋肉の緊張を緩和させますが、「食いしばり」を止めない限り、症状の完治は望めません。自分が「食いしばり」があるなと思ったら、早めに歯科医院で検査を受けてみてください。

ヒューマン・アナトミー・アトラス 画像の使用 @visiblebodyに感謝します。

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