トリガーポイントとは?

最新の定義によるとトリガーポイントは「過敏化した侵害受容器」とされています侵害受容器というのは、骨折、ケガ、火傷などで正常な組織が損傷したか、あるいは強くひっぱられる、叩かれるといった組織が損傷する恐れのある刺激があった時に、その刺激のエネルギーを電気信号に変える変換器のことです。

侵害受容器によって電気信号に変換された刺激情報は、感覚神経によって脊髄、視床を経て大脳皮質に伝達され『痛い!』という感覚となります。

つまりトリガーポイントとは身体の危機情報がたくさん入力されている場所のことです。トリガーポイントがあるとその場所の痛みだけでなく、筋膜のつながりに添って離れた場所にも痛みを送る特徴があることから「トリガー=引き金」の名前がついています。

トリガーポイントが形成される原因

トリガーポイントが形成される原因は『多動=運動による筋の酷使』『不動=関節運動を伴わない筋緊張の持続です。

多動の例:激しいスポーツ、反復する運動(音楽家・スポーツ選手・肉体労働など)、過度な筋トレなど。

不動の例:長時間の同じ姿勢、猫背を始めとする悪い姿勢、喰いしばり、ストレスや不安による体の硬直など。

このような体の使い方によって筋肉に微小な損傷が起こり、エネルギー危機を迎えた筋の異常収縮状態が続くことでトリガーポイントが形成されます。

トリガーポイントの形成には「多動」と「不動」以外にも様々な原因があるといわれています。まだ正確にはわかっていませんが、「体内の水分量の低下」「栄養状態」「糖質の過剰摂取」「精神的ストレス」もトリガーポイントの発生に関連があるといわれています。

トリガーポイントが発生しやすい部位

トリガーポイントは筋や筋膜に多く発生しますが、それ以外にも腱、骨膜、靭帯・皮膚や瘢痕部など、全身の様々な軟部組織に存在することが知られています。

前項で見たようにトリガーポイントは「動き」や「姿勢」で筋肉に負担が過度にかかった時に発生します。その為、関節周辺と骨格を支えている深層筋(インナーマッスル)にトリガーポイントが好発します。特に「首」「腰」「股関節」「膝」といった頭や体を支える役目を担う関節周辺とその関節に付着する筋にトリガーポイントが多く発生します。

トリガーポイントによる症状

トリガーポイントが引き起こす症状で代表的なのは『強い痛み』です。これはトリガーポイントの発生に組織の損傷が関係しているからですが、痛み以外にも以下のような症状がみられます。

  • 局所痛:自発痛ともいいます。じっと安静にしていても痛みが出る状態。かなり重症度が高い。
  • 圧痛:筋がこっている、張っていると感じる部位を押された時に痛みが生じる。
  • 運動痛:ストレッチなど体を動かした時に痛みが生じる。
  • 関連痛:痛みとなる原因が生じた部位と異なる部位に感じる痛み。原因は解明されていませんが、筋膜の連鎖が関連していると考えられています。
  • 索上硬結(さくじょうこうけつ):ひも状、ロープ状のゴリゴリしたしこり。
  • 関節の可動域制限:関節が曲がりにくくなる。
  • 筋力の低下
  • しびれ
  • ストレッチ陽性サイン:他動的に筋を伸ばされると痛みが出る。
  • 自律神経の障害:胃腸障害、呼吸障害、睡眠障害、気分障害(パニック障害、うつ)など
  • 固有感覚の障害:めまい、フワフワ感など。固有感覚は体の位置関係や筋や腱にどれくらい力が入っているのかを感知します。
  • 浮腫(むくみ)
  • 蜂巣炎:皮下組織におこる感染症
  • 脱毛

トリガーポイントの種類

トリガーポイントは筋に「しこり」として触知される索上硬結内に発生します。その大きさは米粒大の小さなものから親指ほどの大きなものまで様々です。

専門書にはトリガーポイントの分類は様々にありますが、当院が施術でターゲットにしているのは以下の2つです。

活動性トリガーポイント(重症):安静にしていても痛みが出る、痛みに過敏になっているトリガーポイント。特徴として以下のものがあります。①押すと飛び上がるほどの痛みがある ②痛みのある筋と筋膜でつながる筋にも関連痛が現れる ③筋が固くなっている ④筋力が低下している ⑤圧迫あるいは鍼刺激によって局所単収縮反応(ピクっとする筋の収縮)がある。

潜在性トリガーポイント(軽傷):安静時の痛みはないが圧迫や動作時に痛みが出る。活動性と同様の①~⑤までの特徴があります。当院では筋膜の癒着が潜在性トリガーポイントだと考えています。

潜在性トリガーポイントは安静時痛がないので放置されがちですが、将来的に活動性トリガーポイントになる危険性がとても高いので早期に取りのぞくことが必要です。

トリガーポイントの診断

トリガーポイントによる痛みの概念が日本ではまだ浸透していない為、痛みの原因がトリガーポイントかどうかを診断してくれる病院は多くはありません。筋筋膜性疼痛症候群の治療を掲げている整形外科に行かれることをお勧めします。

病院に行かれる前に、ご自身でも下記の方法で確認できます。

  • 索上硬結の有無:痛い場所の筋肉にコリコリ、ゴリゴリしたしこりがある。
  • 索状硬結内の強烈な圧痛点:索状硬結を触った時に強烈な痛みを感じる場所がある。
  • 痛みの再現:圧痛のある索状硬結をぐーっと押すといつも感じている痛みが再現される。
  • 痛みの広がり:痛い場所が徐々に広がっている。多くの場合片側ばかり広がる。
  • 引っ張られる感覚:体を動かした時にある部分がひっかかって引っ張られる感じがする。
  • 深い部分のコリ感:体の深い部分に硬いコリがある。

トリガーポイントをターゲットにした治療法

トリガーポイントの治療には、①手技療法 ②トリガーポイント注射 ③トリガーポイント針刺入法があります。

どれが一番効果があるのかはまだ検証されていませんが、痛みの状態と施術する側の技術力で効果に差が出ます。

①手技療法

指、手のひら、肘でトリガーポイントに徐々に圧力を加えることにより、拘縮した筋を弛緩させる方法。病院での理学療法士による施術、整体院、マッサージ店での施術があります。筋膜リリース、筋膜マッサージという名称で施術が行われていることがあります。

②トリガーポイント注射

トリガーポイントに対して毒性のない局所麻酔薬や生理食塩水を注射することで、索状硬結を取りのぞき血行を促進する。局所麻酔薬としてはリドカイン(世界で最も広く使用される局所麻酔薬。抗不整脈薬としても使用されている)、プロカイン(麻薬であるコカイン代用薬で毒性はコカインよりも弱い)が推奨されている。生理食塩水は体液とほぼ等張の塩化ナトリウムの水溶液(食塩水)なので、麻酔薬よりも体への負担が少なく副作用もありません。通常は保険適用です。

③トリガーポイント針刺入法

トリガーポイントを針で刺激し、索状硬結を取りのぞき血行を促進する。東洋医学のある種の鍼治療(経絡理論を用いない鍼治療)、西洋医学では「ドライニードリンク(dry needling)」、筋肉内刺激法(intramuscular stimulation:IMS)などがあります。

トリガーポイント注射とトリガーポイント針刺入法の違いは薬液を注入すか否かもありますが、それ以上に大きな違いは注射針か鍼治療の鍼を使用するかということです。鍼治療で使う鍼は注射針のように中が空洞になっていない為、細く、先端も丸くなっている為、痛みがなく組織の損傷が少ないです。

当院の「深層筋トリガーポイント鍼療法」はトリガーポイント針刺入法の一つですが完全なオリジナルの技術です。